郡山青年会議所は「明るい豊かな社会」の実現を同じ理想とし、次代の担い手たる責任感をもった20歳から40歳までの指導者たらんとする青年の団体です。

「多子社会の実現とJC」特別対談全文

特別対談8月号

【特別対談全文】

佐藤拓也理事長(以下、佐藤) 本日は公務ご多用の中、対談の機会をいただきありがとうございます。本年度、(公社)日本青年会議所は、多子社会を実現するために何が必要かということについて、全国で国民討論会を開催しています。青年会議所会員は二十歳〜四十歳で、まさに子育て世代である自分たちが率先して議論し、国民の皆様に多子社会について考える機会を提供していきます。実際の討論会ではジェンダーの平等や女性の働き方など、女性を中心とした意見が多くありました。私たち自身が多子社会の実現に向け、子ども生み育てやすい社会を築いていくために何ができるのかについて考えていきたいと思います。

根本匠厚生労働大臣(以下、根本) まず初めに、産む、産まないということは個人の自由であり、政府としては希望する方が安心して子ども生み育てていける環境を整備することが重要と考えています。その上で、働く女性のワークライフバランスを実現するために、女性が育児をしながら働ける環境づくりに取り組んできました。また、これまで日本は「少子高齢化社会」と言ってきましたが、高齢化のスピードが早く、介護保険制度を創設するなど高齢者の皆様が安心して暮らせる環境づくりに注力してきたと言えます。一方で少子化が進み、この二十年くらいは少子化対策に力を入れるようになってきました。保育の受け皿の拡大や育児休業制度の充実に取り組んできました。第二次安倍内閣では「希望出生率一・八」の実現を掲げました。それは、二人以上の子どもを希望するご夫婦が多い中、将来への不安などから現実には出生率が低い(二〇一八年は一・四二)ことから、理想と現実のギャップを生み出している原因を解消する必要があるからです。まずは、待機児童を解消するために五年間で約五十三万人の保育の受け皿を拡大し、二〇二〇年度末までにさらに三十万人分を増やします。また、育児休業制度を充実させ、取得しやすいようにしました。このような取り組みにより、女性の世代別労働力率において出産・育児期に低下するいわゆるM字カーブがなだらかになってきています。つまり、出産による女性のキャリアの途切れが減少しているということです。さらに待機児童の解消を進めてまいります。今、政府は「全世代型社会保障」に取り組んでいます。年金、医療、介護に加え、子育て支援を社会保障の重要な柱として、幼児教育の無償化などの教育費負担を大幅に軽減していきます。子育てに関する不安の最も多い意見は、将来に渡る子どもの教育費負担です。こうした政策を通じて、子どもを安心して生み育てられる社会の実現に取り組んでいきます。また、ジェンダーという視点で見た時、女性の育児休暇の取得率は上がってきましたが、男性の取得率五%と低く、男性の育児参加を促していきたいと考えています。そのためには働き方改革が必要です。三十代では、月の残業時間が六十時間になる人も相当数いると言われています。そこで、長時間労働に規制をかける労働法改正に取り組みました。長時間労働を是正することにより、自分の使える時間を増やして育児に参加しやすくします。または、自らの学び直しとしてリカレント教育に時間を当ててもよいでしょう。

佐藤 子どもを安心して生み育てられる環境を作ることによって出生率が上昇し、将来的に子どもたちが増えていくことで日本の経済、未来もより良くなっていくと考えますが、多子社会を実現した日本はどのように変わっていくのでしょうか。

根本 二〇四〇年を迎える頃には高齢者はさらに増え、その対策も急務ですが、生産年齢人口、つまり現役世代が急減していくことが大きな課題です。現役世代が減少していくことで日本の経済力が弱まる可能性があるからです。そこで生産性の向上を図るために働き方改革を推進するとともに、女性も高齢者も障がい者も元気な方は社会で活躍していただける一億総活躍社会の実現が当面の方向性となります。その上で子育て支援を充実させ、子どもを産み育てやすい環境をつくることで出生率が向上し、その子どもたちが成人して日本の支え手になる。このような長期的な視点で、活力のある日本の未来のために子育て支援、教育の充実がより重要になっていくと考えます。

佐藤 今を生きる大人たちに対して厚生労働大臣からメッセージをいただけますでしょうか。

根本 団塊ジュニア世代である今の現役世代は二〇四〇年には六十代となり、高齢者になります。働き盛りであるこの世代がこれからの日本を担っています。その上で今、重要なのは現在三十代半ばから四十代半ばのいわゆる就職氷河期世代。当時、不況の最中にあり、新卒の正規雇用の就職率が五十%程度となっていました。日本の雇用システムは、新卒一括採用という雇用慣行ですので、就職氷河期世代は不景気で企業が新卒採用を控えたために正規雇用として就職できず職を転々とすることになってしまいました。また、派遣業法の改正によって非正規雇用が増え、派遣社員のまま今日に至り給料も上がっていないケースもあります。不安定雇用、長期的無業、引きこもりが顕著な就職氷河期世代に対して寄り添った支援をしなければなりません。それぞれが持っている力を最大限発揮できる社会をつくるためのトータルプランを策定し、就職氷河期世代となってしまった皆様の背中を押してまいります。

佐藤 先ほど申し上げた通り、多子社会の実現に向けて当事者世代でもある私たちが積極的に議論し、そして行動に移していくことが重要であると考えますが、根本大臣のお立場から青年会議所に期待することがあれば教えてください。

根本 自らを磨いて、課題があれば自らが解決して、日本を牽引していく。それが青年会議所だと思います。まちづくりに貢献したいという意欲をもって集まってきているから評価しています。自分たちの力で社会を良くしようという、高い志が良い社会をつくる。青年会議所にはこれからもまちづくりを先導してほしいと思います。私は旧建設省に務めている時、「まちづくりについて講演してもらいたい」と青年会議所に呼ばれて講演したこともありました。青年会議所には、令和の時代を切り拓く挑戦者として頑張ってほしい。

佐藤 我々も郡山に生きる者として開拓者精神を持って、挑戦し続けていきたいと思います。時代の流れが速い中で変化にもしっかり対応しながら、子どもたちが追いかけたくなるような背中を見せていきたい。そのためにも、今の日本において避けて通れない多子社会の実現というテーマについて、青年会議所に何ができるのかという点を深堀りしていく必要があると考え、厚生労働大臣でもあるとともに郡山のリーダーである根本大臣に今回のテーマを投げ掛けさせていただきました。

根本 二〇四〇年くらいになると、確かに高齢者は増えていますが、その後、徐々に現役世代と高齢者世代のバランスが取れていきます。多子社会の実現を前向きに表現するならば、希望する夫婦が安心して子どもを産み育てられる社会であり、子どもに十分な教育の機会を提供し、将来の日本の新たな礎を築いていくことではないでしょうか。人口減少を悲観的に言う人もおり、確かに経済にはマイナスですが、大事なことは一人当たりGDPです。北欧などは知識産業に切り替えたり、雇用も流動化を促すようなシステムで一人当たりGDPの向上に努めています。一人当たりGDPを向上させることで豊かさは保てます。そのカギは、AIなどの第四次産業革命です。例えば介護の現場などはイノベーションの余地はまだまだあります。GDPの二割程度は社会保障。社会保障は経済を支える機能も持っています。人手不足が深刻になっていますが、裏を返せば、イノベーションのニーズが高まっているということです。現在、省内に「介護現場革新会議」というものを作り、様々なイノベーションを後押ししていきます。高齢化社会においても、高齢者の新たな需要が喚起され、成長を牽引していくかもしれません。悲観するのではなく、プラス思考で課題に向き合っていけば良いと思います。

佐藤 今回のお話しを一つひとつ振り返りながら、青年会議所という熱いハートを持った我々が、社会を見直し新しいアイデアを出していけたらと思います。

根本 子どもを産み育てやすい環境を整備し、子どもたちへの教育をさらに充実させ、みんなで子どもを育ていくことが重要です。青年会議所が日頃から取り組んでいることです。私の息子も青年会議所のスキー体験に参加したことが良い思い出になっています。

佐藤 青少年育成事業にもさらに力を入れていきたいと思います。本日は誠にありがとうございました。

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